三光事業団の理念と取り組み

三光事業団の理念

「子どもと家族に寄り添う施設として」

近年、少子化が進み、昨年の統計では18歳以下の子ども人口が戦後最低の数字になっています。
子育ての課題は山積し、いまや1つの家庭だけでは充分な子育てが難しい状況にもなっています。
社会制度もその状況に見合ったものになかなか追いつかず、子育て不安や不安定な家庭状況が増加しています。
その中でも最も深刻な課題である保護者や家族による子どもへの虐待のケースは、2023年度のこども家庭庁の統計では、225000件以上にものぼっています。
しかしながら、これらのケースは決して特別な家庭にのみ起こる出来事ではなく、現代の子育て家庭や保護者の養育不安や孤立した姿の現れだと考えることができます。
中には、一生懸命子育てを考え、苦しみ悩みながら結果的に子どもに手を上げることを防ぐことができなかった家族もあります。

私どもが1996年より実施している24時間子育て電話相談「ハッピートーク」にも、多くの相談が寄せられています。
この状況は、単に「子育てが、個別の家族のみの問題ではなく、社会全体で考える課題であり、
「子育て」を相談し支えてゆく有効な社会的なシステムを位置にも早くつくり上げることが、何よりも大切なことだと考えています。

全国に約600ある児童養護施設は、児童福祉法41条に規定された公的な施設です。三光塾ももその一つで1946年から開設運営しています。上に述べたように、「子育て」を支える社会的なシステムの中で児童養護施設は、困難な子育ての課題に真っ正面から取り組み、「利用者の側にたったサービス」を提供する役割をあた得られた施設だといえます。さまざまな課題を抱えた子どもたちが、「安全で安心して生活できる」環境を整え、また、その家族とともに子どもたちの成長に寄り添うための働きを進めてゆきたいと願っております。

三光事業団の取り組み

Ⅰ)「子どもと家族によりそうために」

各拠点連携を充実して地域における子育て家庭支援のワンストップステーションの形成 2025年度頃には西宮市など行政と連携して「子ども家庭総合支援拠点」としての役割あるいは、西宮児童相談所と連携して「児童家庭支援センター」を持てるような整備を行いたい。また、里親との連携や支援のプログラムも実施することをめざす。

Ⅱ)「子どもの権利擁護と推進」

子どもにふさわしい社会は全ての人にふさわしい社会という考えを基礎として 子どもの権利条約にうたわれた「生きる権利」「育つ権利」「守られる権利」「参加する権利」の理念の尊重と、日々の養育内容が「子どもの最善の利益」や「子どもの意見=思いを聞いてもらえる権利」を尊重したものであるか?を常に問いながら行う。

Ⅲ)「子どもの虐待防止ネットワーク」を発展させる

子育て家庭の養育不安や困難あるいはDVなどに対する早期対応の体制整備 要保護児童対策地域協議会等のネットワーク連携や、大学・病院などの研究機関との治療機関などとの連携を充実させ、また、児童家庭支援センター等の在宅家庭への支援プログラムを充実させて、子育てに不安を感じる家庭への支援を積極的に行う。

Ⅳ)「子どもと家族の自立・自助」をサポートする体制の充実

施設を出て社会的に自立生活をめざす、あるいは自立生活を行っている子どもたちや家族への精神的支援や経済的支援のための基金制度を充実し自立支援のための人材を配置できるように努力する。また、既存の利用可能な公的サービスや民間の奨学金などとの結びつきを支援する。

Ⅴ)「韓国を中心とする海外の児童福祉施設や機関との交流」

永川希望園との交流を継続し、相互の子どもや職員に異文化の理解や多様な経験を提供 1996年より継続してきた友好交流を今後も継続して相互理解を深め、お互いの子どもや職員の成長をはかる。また、韓国以外のアジアの社会福祉関係者の研修等も積極的に受け入れる。

Ⅵ)継続的な運営に必要な福祉人材の計画的な育成や採用体制を充実する

拠点施設運営に求められる優秀な人材を採用し育成するための人事考課制度等を新たに策定し、公正な評価と処遇改善を行えるようにする。また、職員の専門性の充実のための階層別の研修制度を設けて、社会的地位向上への取り組みを行う。

Ⅶ)社会福祉法人の公益性・非営利性を保つための透明性のある組織運営を行う。

新しい法制度に伴う諸規定を常に改定整備運用し、コンプライアンスを徹底し、透明性のある健全な財政基盤を確立する。また、地域に対して積極的な情報発信を行う。

2025年度(令和7年度)事業計画

①子ども一人ひとりの権利が守られる丁寧な生活支援の保障 子どもたちが、生活の中で心から安心できる支援を行います。「守られる」「大切にされる」が実感できるよう、権利擁護の観点をベースに、丁寧な生活支援を実践していきます。

②ソーシャルワークを軸とした自立支援計画に基づいた支援の展開 その子どもにとって必要な、活きた自立支援計画を策定し、それに基づいた一貫した支援を行っていきます。

③子どもと家族に寄り添うファミリーソーシャルワークの実践 法人理念「子どもと家族に寄り添う」の実現を目指して、どのケースも家族再統合の可能性を探り、家族の傷つきも支援していく姿勢をもって、ファミリーソーシャルワークを行っていきます。

④ 自立支援、リービングケア・アフターケアのさらなる充実 近年、より自立支援、アフターケアの重要性が増している。子どもたちの将来の不安が少しでも軽減され、未来に向かえるよう、緩やかな自立への移行(丁寧なリービングケア)を行っていきます。

⑤専門性の向上・離職率の低下を目指す職員育成 支援の質を高めるための人材育成、研修を体系的に取り組んでいきます。職員が孤立せず チームで支え合いながら働くことができる仕組み作りにも力を入れていきます。

⑥人材確保・継続の取り組み これらの支援を継続して展開するために、確実な人材確保・職員配置への最大限の工夫に 努めていきます。就職説明会、施設見学会、体験実習を実施、実習生の丁寧な受け入れを行うことで、質の高い人材確保に繋げていきます。

⑦ 施設機能の維持継続と、社会的養育推進計画の見直し 兵庫県の社会的養育推進計画に沿って三光塾は、2025年度に定員6名×5ユニット(30 名)に変更しより手厚い支援実現を目指していきます。また、常にケース・支援・運営の視 点で話し合いを繰り返しながら、施設としての良き方向性を考えていきます。

⑧小規模化、多機能化への取り組み(地域支援・貢献・共生) 三光塾の持つ専門性を活かした事業の展開を、制度に合わせて検討し、地域の子育て支援・里親支援に力を注いでいきます。24時間子育て相談電話、子育て短期支援事業(ショートステイ事業)を実施、地域での子育て拠点の役割を果たしていきます。

⑩異文化交流事業 コロナ禍でストップしていた韓国氷川希望園との交流事業が2023年度より再開しています。子ども達にとって、異文化交流は財産となるので、交流を継続していきます。

社会福祉法人 三光事業団 が実施していること
- 子どもと家族に寄り添うために -

1) 児童養護施設 三 光 塾 の運営 (児童福祉法第41条に規定される施設)

おおむね2歳から18歳までの、さまざまな理由で家庭での養育がむずかしい子どもたちをお預かりして、家族の協力を得ながらお世話をしています。子どもたちは、三光塾を家庭のようにして幼稚園や小学校、中学校、高校や職場に通っています。定員を社会的養育推進計画にともない定員を40名から35名に変更しました。
子ども  定員 30名  現在は 25名 (2025年4月1日現在)
職員 定員 20名  現在は 27名  (非常勤を含みます)

2) 地域小規模児童養護施設 御殿山ひかりの家 の運営 (H12年厚生省児童家庭局長児発第489号通知による事業)

定員6名のグループホーム「御殿山ひかりの家」を2002年11月、宝塚市からの補助を受けて開設しました。ここでは、子どもたちが、さまざまなことを経験できるように、職員との身近な人間関係、落ち着いた環境の中で生活を営み、信頼関係を基盤にして共に生活しています。
24時間電話相談
子ども  定員 6名   現在は 6名 (2025年4月1日現在)
職  員 定員 2.5名   現在は 6名  

3) 子育て家庭ショートステイ事業(子どもたちを一時的にお預かりする仕事)

(西宮市・芦屋市・尼崎市・川西市・宝塚市・伊丹市などから依頼を受けています)
社会的な理由で(家族の病気、出産、病気の人のお世話、事故、災害、冠婚葬祭、仕事の出張、学校・PTA等の行事への参加など)家族が一時的に子どものお世話ができない時、お預かりしてお世話します。

4) 24時間子育て電話相談「ハッピートーク」の運営

家庭内の子育て不安や、子どもの虐待、不登校などの子育ての上のさまざまな課題に対応するために、育児相談、家庭訪問、電話ホットラインによる相談、緊急の子育てのお手伝い、一時保護などを行う事業です。そのためにファミリーテレフォン「ハッピートーク」を開設して、子育てに関する疑問や悩みに24時間体制で答える電話相談をおこなっています。
24時間電話相談「ハッピートーク」 0798-45-553

5) 「CAPにしのみや」事務局 の運営

CAPとは、Child Assault Prevention(子どもへの暴力の防止)の略で子どもがさまざまな暴力やいじめから自分を守るためのプログラムです。このプログラムは、従来の「~してはいけません」式の危険防止策ではなく、子どもたちと「何ができるか」を一緒に考えていきます。ロールプレイやディスカッションを通して子どもたちは、
○大切な子どもの三つの権利(安心・自信・自由)
○自分の権利を守るための方法(NO、GO、TELL)
○友だちどうしで助け合う方法(友だちの権利を守るために立ち上がる)
○信頼できる大人に相談する方法などを学びます。
これらのプログラムを進めるために、CAPの指導者コースを終了した地域のボランティアの方々と協力して、1997年秋に「CAPにしのみや」を創設し、学校のPTAや地域団体などから依頼を受けてワークショップや研修会を行っています。

   

6) ひかり保育園の運営

西宮市上大市4丁目に2005年4月1日開設しました。0歳~就学前の子どもたち90名をお預かりし、子どもたちにとって安全で安心な場としてまた「昼間のおうち」としてくつろげるような環境での保育をめざしています。延長保育や一時保育、障害児保育も実施します。また、三光塾のファミリーソーシャルワーカーやセラピストを活用し、さまざまな相談事業や、地域の皆さんに参加していただけプログラムなとを企画し、地域の中での身近な子育て支援を充実させるために努力します。
定員90名 職員22名(非常勤職員含む)

7) 児童家庭支援センター「子そだてサポートひかり」の運営

宝塚市御殿山ひかりの家に付設して2011年4月1日開設しました。県内8カ所に児童家庭支援センターがあり、「子そだてサポートひかり」は阪神北地域になります。見守りが必要な親子の相談等に24時間体制で対応します。相談員や心理療法を担当する職員が子そだて相談を受けるほか、家庭や地域と子ども家庭センターをつなぐ役割をします。
職員 相談員3名 
電話0797-81-2775

8)西宮市立留守家庭児童鳴尾育成センターの指定管理

2012年度より鳴尾小学校おける学童保育の運営をしております。子ども達が放課後お家に帰るまでの間、安心してくつろげ活動できる場を提供していきます。また、ご家庭の子育て相談等にも積極的に関わっていきたいと考えています。
(定員80名)

9)母子生活支援施設「ファミリエひかり」の設置運営

2016年4月より西宮市内に20世帯及び緊急保護1世帯で開設しました。
母子家庭の安心安全を確保し支援、社会的自立をサポートしていきます。

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